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『書』の世界との出会い





「明日、１本の線をひきにきませんか」





１０年程になるだろうか　はじめてお会いした書家の先生からの誘い





すべてはそこからの始まりだ。





筆を持ちたかった訳でも、線をひきたかった訳でもない





線をひいた先に何かがみつかる





ただ、そんな想いをかかえ、翌日先生の道場のドアをノックしたのを覚えてる。





四帖半の紙にでっかい円





それが、オレの最初の作品





来てよかった。





素直にそう思った。





それからのつきあい。





描きたい想いが浮かび上がると、瀬戸内海の鞆の浦にある先生の道場にお邪魔させてもらってる。





師匠が見守る中、静かと力強さを　自分の中に感じながら、





まるで、筆に自分の魂がのり移るような瞬間を体験する。












習字にはお手本がある。





だけど、「書」にはお手本がない。





こうしようとか、ああしようとか、そんな意図のない　ありのままをそこに描くんだ。





だからこその究極の緊張感がそこに生まれる。





他にない特別な時間なんだよな。





さて、一生モノ。












ジャーン！！！





友人からの誕生日プレゼントなんだ。





三ヶ月の時間をかけて、最高の筆をつくってくれた。





究極に特別な１本。












筆おろしの日が今からスッゴく楽しみだ。





またひとつ、特別な宝物が増えた。





この筆にたくさんの瞬間と衝動を刻みたいな。





一生のつきあいがまたひとつここから始まるんだ。





この筆のはじめの「書」、今から、楽しみだよ。





奥ちゃん、ありがとう。





みんなはどんな一生モノとつきあってる？





　　　　　　　　 森友嵐士